♪ 【002】 赤ワインの渋味成分受容における欧州と日本との相違点 [May/30/2004]
私は、大人になって……正確には、京都で(真面目な?)大学生活を送っている頃に、
本格的にワインを飲むようになりました。Wine Barにも行きました。
入学して間もない頃に、初めて、自分専用のコルク抜きを買いました。
でも、その頃に、とっても、渋い・苦いワインに当たってしまったのでした。
強い酸味もありました。
"いかり肩"(Bordeaux/ボルドー)ですが、ようするに劣化していたのですね。
柿渋が、歯と歯茎に、へばり付くような、とても嫌な感じで、
舌がしびれるとでもいいますか……
田崎 真也 ソムリエも、品質が悪いワインに当たった体験を、
著書等に記していらっしゃいますが、
思えば、誰しもが、似たような経験があるのではないでしょうか。
「赤ワインが渋かった。苦かった。不味かった。だから、白ワインにしよう。」
といった、不幸な経歴をお持ちの方々も、少なくないのかもしれません。
[My Favorite Wine]
Volnay Premier Cru Les Caillerets Clos des 60 Ouvrees Monopole
Domaine de La Pousse D'or
(ヴォルネイ プルミエ・クリュ レ・カイユレ
クロ・デ・ソワサント・ウーヴレイ モノポール
ドメーヌ・ド・ラ・プース・ドール)
このワインに、巡り合わせてくれた、素晴らしいソムリエが、
私を救ってくれました。
彼が、教えてくれなかったならば、今の私は有りません。
(^_^;) えっ? 無いほうがいいって?
いずれにいたしましても、
Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン)種主体のワインに対して、
Pinot Noir(ピノ・ノワール)種主体のワインは、
総じて、(タンニン由来の)渋みが少なく、口当たりがまろやかです。
単にそれだけであれば、"いかり肩"を薄めただけで、つまらないのですが、
そんなことはありませんでした。
抜栓直後に、部屋中に広がる、
まるで、Framboise(フランボワーズ/Raspberry/木苺)を思わせるような、
甘く、軽やかで、フルーティな香りに、心底感動しました。
それでいて、色付きも良く、口に含むと、確かなアタックがあり、
充分に長い余韻も楽しめる(ワインの味が甘口ということでは決してありません)。
そんなわけで、"なで肩"(Bourgogne/ブルゴーニュ)に傾倒していったのですね。
ワイン後進国の、我が国でも、幾度か、
いわゆる"ワイン・ブーム"といったピークがありました。
理屈抜きに、最初に、受容されたのは、
輸入量・消費量からみても、白ワインのほうです。
その後、"French Paradox"(フレンチ・パラドックス)や、
"Polyphenol"(ポリフェノール)云々……で、
理屈や蘊蓄(ウンチク)もあって、赤ワインの消費が、次第に拡大しました。
いわば、頭で、赤ワインを、飲むようになったとでもいいますか……
なんとも、日本人らしい食文化です。
今でも、日本には、ワインそのものについての法律が存在しません。
France(フランス)の、
AOC(Apellation d'Origine Controllee/
アペラション・ドリジン・コントローレ/原産地呼称統制)を始め、
種々の法律・規制を定めている、Europeとは、
ワイン文化の土壌が違い過ぎて、なかなか比較にはなりませんが、
多くの日本人は、体質的に、自然に白ワインを受容したのかもしれません。
私は、ヨーロッパの人々が、赤ワインを好み、
渋味や苦味を、お料理と合わせることによって、活かすことができるのは、
「生食用の葡萄の食べ方の相違」によるものだと考えています。
確かに、ワイン醸造用と生食用とでは、品種が異なりますので、
一概には言えないものの、一因になっていることは確かだと考えます。
(初めて見る人は驚くようですが)
Europeの市場の果物売り場で、試食をしている現地の人、
あるいは、日本にやって来た欧州の人が、
葡萄を食べる様子を、チョット観察してみて下さい。
まず、果皮をむかずに、そのまま口に入れ、
種まで、ガリガリガリ……と砕いて食べる人が多いはずです。
EuropeのHotelに、Check-inすると、
客室に、Welcome Fruitsが、置いてあることがあります。
たいてい、葡萄がありますが、
ズルッと果皮がむけるタイプの葡萄は、ありません。
無理にむこうとすると、果皮が爪の間に挟まって苦労します。
欧州の人達には、
皮離れが良く、種が無い葡萄の、品種改良をしている日本人が、
まったく理解できないかもしれません。
実際、1つの葡萄の実そのままに、衣を着けたような、お菓子さえあります。
ちなみに、皆様が、仮に、巨峰等の葡萄を食す際に、皮をむく場合は、
皮を外してから、口に含むのではなくて、
果皮ごと口に含み、その後で、皮と種を出したほうが良いです。
なぜならば、主要な栄養成分(身体に良い成分)は、
果皮と果肉との間に、存在しているからです。
赤ワインは、葡萄の果皮や種子をも一緒にして、発酵したものですから、
Europeの人達は、潜在的に、タンニン等の渋味成分に抵抗が少なく、
そうしたことが、代々、DNAに刷り込まれて来たとでもいいますか、
とにかく、我々日本人は、
彼らと同じにはいかなくても、何ら、不思議ではありません。
日本料理にしても、その調理技術の多くは、
アクを抜き、渋味・苦味を和らげるものです。
基本的に、渋味が支配的なタイプの赤ワインは、合わせるのが難しいです。
日本人ならではのアプローチを、考える必要があります。