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 [Jun.06,2005]

「人」に「良い」と書いて「食」……タバコは「食」の安全とは相容れない物


1. タバコのパッケージの警告表示

たばこ規制枠組み条約(FCTC)」の発効後、日本のタバコのパッケージが変わって来ました。
包装紙の面積の30%以上に、タバコの害を明示した警告文が入るようになり、
程なく、全面的に切り替わります。ただ、警告文とはいっても、
「肺癌の原因」・「心筋梗塞の危険性」・「健康に悪影響を及ぼす」
といった、まだまだ、生易しいものです。
諸外国の前例では、警告文表示の強化後、喫煙率が低下しています。
また、大幅な値上げが実施された結果、喫煙率低下に大きく貢献しています。
商品でありながら宣伝(販売促進)行為が禁止され、消極的に販売を存続しているという、
タバコというのは、誠に不可解な物ですね。

禁煙医師連盟のサイトの、「海外でのタバコの警告表示」を、ぜひ、ご覧いただきたいのですが、
日本製のお馴染みの銘柄のパッケージに、
「SMOKING KILLS/喫煙は死に至ります/喫煙は人を殺す」といった警告表示が入っています。

喫煙者は、日本製のタバコが国外で、どういった包装で販売されているのか、
知っておいて損は無いと思います。そして、重要なのは、
日本国内で販売されているものも、「喫煙は死に至ります/喫煙は人を殺す」と書いてあるものと、
中身は一緒だということです。
こんな危険物の受動喫煙被害は、何としても回避したいもの。

「喫煙は死に至ります/喫煙は人を殺す」を目にしても、全く動揺しないというタフな方は、
今後も、ずっと喫煙行為を続けていただいても、いっこうに構いません。
喫煙行為は自己責任で行うものであり、
周囲の人達に全く影響を及ぼさずに行うのであれば問題ありません。
ただ、世界最低水準の日本のタバコの価格が、将来、
欧米並みに2〜4倍の価格になった場合、随分と高くつきますが……
わざわざ高いお金を払って健康を害するという感覚は、少なくとも、私には理解できません。

警告表示について、「余計なお世話。自分の身体の問題。他から言われる筋合いではない。」
といったことを言う喫煙者がいます。そのとおりです。だって、自己責任ですから。
しかし、国際的にタバコの規制が進んでいるのは、喫煙者の健康を気遣っているからではなくて、
周囲の人達に大迷惑をかけて、大ヒンシュクをかっているからです。


喫煙者本人の健康問題など、どうでもよいのです。知ったことではありません。
受動喫煙の被害を受ける周囲の人達の問題です。
喫煙行為が寿命を縮める自殺(自傷・自虐)行為だとして、喫煙者本人、ならびに、
志を同じくする人達が一緒に行うのは、大いに結構です。自業自得ですし。
でも、同調しない周囲の人達を巻き添えにするのは、止めていただきたいということです。
なぜ、(特に公共の場所での)喫煙が問題になるのかと言いますと、
喫煙行為は、周囲に影響を及ぼさずに(自己)完結することが極めて困難だから。

次の警告文が、受動喫煙問題の本質を突いていると思います。
「WARNING! You're not the only one smoking this cigarette.
(警告! このタバコを吸っているのはあなただけではありません。)」


保健医療系9学会(医師)が、合同で作成したガイドラインでは、
「喫煙は病気」と位置付けられています。
「喫煙はニコチン依存症という病気で、治療するという視点が必要。」とのこと。
理性ではなく、ニコチン切れの禁断症状により、身体がタバコを求めている……
以前にも書きましたが、喫煙による「中長期的・慢性的悪影響」につきましては、
禁煙医師連盟のサイトから、様々な情報にたどり着けますので、
ぜひ、医学的な理解を深めていただきたく思います。


2. タバコの煙は不潔・不衛生・不快・くさい……

「中長期的・慢性的悪影響」に関しましては、医師に任せるとして、
私が問題視している、「急性的悪影響」について、続けさせていただきます。
急に、目が痛くなったり、喉が痛くなったり、
咳が出たり、頭痛がしたり、気分が悪くなったり、吐き気がしたり……
「(将来的に)人体に有害だから危険」という理由以前に、
単純に、「たった今、不快」という理由で問題になるのです。

楽しい食事を邪魔されたうえに、服や頭髪にタバコの悪臭が付着するのも不快ですが、
喫煙者との接触によって服を焦がされたり、
カーペットや畳に穴が開いたりといった被害が出る場合もあります。

私は、現在、メガネをかけていますが、コンタクトレンズも持っています。
コンタクトレンズを使用しなくなった理由は、以前、
タバコの煙が充満している空間に居て、目が炎症を起こしたからです。
粒子の粗いタバコの煙は、目とコンタクトレンズとの間に入り込み、
ちょうど、ゴミ・埃が入ったのと同様、コロコロして、とても痛いものです。
眼球が傷付く恐れがあるため、コンタクトレンズの使用を止めるか、
空気のよどんだ場所に行かないようにと、医師から告げられました。
コンタクトレンズを使っていらっしゃる方で、
タバコの煙の悪影響で、目がかゆくなったり、痛くなったりするという方は、
くれぐれも、目をこすらないようにご注意下さい。タバコの煙はヤスリのように目を傷付けます。

私は、ずっと、当サイトにおいて、
あるホテルレストラン(日本料理店)を、悪質な例として挙げてまいりましたが、
理由は、無農薬の食材等により、「食」の安全をうたいつつも、看板に偽りがあるからです。
調理場でもある天婦羅カウンターにおいても、全く喫煙対策が取られていません。
農作物のダイオキシン汚染が問題になることがありますが、
ダイオキシン等の「毒物」が、副流煙+呼出煙(呼吸煙/喫煙者が吐き出す煙)で降り注ぐ……

タバコの煙の粒子は粗いため、下降して、飲食物に降り注ぐ形になります。
当然、喫煙者本人のみならず、同伴者、そして、周囲の他のお客様の飲食物にも降り注ぎますし、
仮に、他に誰も居なかったとしても、お店の食器・備品・壁・天井等に付着します。
チェーン・スモーカーのように、食事中に喫煙に及ばずとも、食後の一服をする喫煙者がいます。
自分が食事を終えたら、周囲のお客様もいっせいに「ごちそうさまでした。」なのでしょうか。
たいてい周囲は食事中ですし、たとえ一人だけだったとしても、お店を汚してしまいます。
周囲への気遣いができないような人は、喫煙すべきではないでしょう。

タバコの煙の含有物のヒ素やダイオキシン等の「毒物」も大いに問題ですが、
それ以前に、タバコの煙は「汚物(汚染物質)」です。
特に、喫煙者の口や鼻から放出される呼出煙(呼吸煙)は、「汚い」としか言いようがありません。
臭い口臭・体臭を周囲にぶちまけていることと、何ら変わりありません。
恥ずかし過ぎます。汚物を撒き散らすとは、何と格好悪い姿なのでしょう。

要するに、他人の口から発せられた紫煙が充満するような飲食施設は、不潔・不衛生だということ。
他人の汚物にさらされた不潔で不衛生なお店での飲食は、不条理なものです。
このようなお店には、ワインや食材に対する愛情が感じられず、
ワインを飲んだり、食事をしたりすべきではありません。生産者に対して失礼です。

生産者と言えば、葉タバコ生産農家の方々の心中、察するに余りあります。
無農薬野菜等の生産農家であれば、多くの消費者から喜ばれて、畑作業の苦労も報われますが、
葉タバコを生産しても、加工製品には警告表示という有様。
さらには、路上にポイ捨て。環境汚染を引き起こし、火災の原因になることも……
タバコの消費量の減少を受けて、JTは事業転換を図り、工場閉鎖や大幅な人員削減を断行しましたが、
葉タバコ生産農家が、スムーズに事業転換できるよう、ある程度の援助が必要でしょう。


3. 喫煙は病気

当サイトの「ワイン&グルメの基本」においては、一貫して、
喫煙者本人のマナー云々を言うのではなく、料飲施設側のほうを厳しく責めています。
受動喫煙問題は、喫煙者本人のマナーに頼っていては絶対に解決しません。無理です。
それは、医師会(学会)の見解にあるように、「喫煙は病気」という位置付けがあるからです。
喫煙者は、本来喫煙すべきではない(喫煙しないほうが望ましい)場所だということを認識しつつも、
ニコチン依存症の禁断症状が出て、我慢できない……
理性でコントロールできるのであれば、受動喫煙問題は生じません。
少なくとも、禁煙したいと思いつつも、喫煙行為に及んでいる人達は、
自らの意志にかかわらず、身体の欲求によって、タバコを止めることができないのですから。

つまり、結果的に、マナー違反の状態になってしまっている喫煙者を、
(周囲が迷惑するにもかかわらず)お客様として取り込むかどうかは、
経営者の判断次第・飲食店の運営次第。
少なくとも、受動喫煙問題に関しては、お店側が全席禁煙に踏み切れば、
喫煙者のマナー云々に関係無く、一発で解決する話。

常に、飲食店側を問題にしているのは、
私自身が、ごく一般的な消費者よりも、料飲業界寄りの立場にあるからでもあります。
受動喫煙の被害から逃れるために去ったお客様による経済損失を、業界に提起しています。

悪質な例として挙げているホテルレストランでは、
最初から客席に灰皿を置くようなことはしていません。これは評価できます。
本来、不特定多数の人達が飲食する場所では、喫煙すべきではありません。
全席禁煙に移行する過程で、完全に分離された喫煙席を設ける場合がありますが、
テーブルに最初から灰皿が置いてあって、まるで喫煙行為を推奨する感があり、
分煙としつつも、苦肉の策とでも言いますか、およそ、望ましい形態とは言い難いものです。
また、お客様は禁煙席に逃れることができても、
喫煙席のサービスにあたる従業員の受動喫煙問題は解決しませんし、
従業員の服や頭髪に、タバコ臭が移る場合があり、
その従業員が禁煙席に出て来た場合、臭いので、結局、不快になります。

問題のレストランについては、以前、現場の責任者から、
「禁煙席・喫煙席を分けて、最初から喫煙行為を肯定するような席を設けたくない。」
といった運営方針を伺いました。
確かに、飲食をする場所での喫煙行為は、決して褒められたものではありませんし、
マナーに従えば、「灰皿を置いていない場所は禁煙」と認識するのが常識です。

しかしながら、お客様のマナーに頼った運用は不可能です。
喫煙者全員が、「灰皿が無いのでタバコは吸わないようにしよう。」と思えばよいのですが、
現実は、灰皿の有無を確認することも無く、タバコに点火した後で、灰皿を要求したり、
酷い場合は、食器を灰皿代わりに使って汚したり……
現実は甘くないのです。ですから、
「ウチは最初から灰皿を置くようなことはしていないにもかかわらず、お客様が……」
というのは、現実離れした、単なるキレイ事です。
言い訳にさえならず、実質、全席喫煙席ということです。未必の故意と言ってもよいでしょう。
本店に相当する店舗全席禁煙で運営されているだけに、残念でなりません。

例として示した日本料理レストランは、一般ホール席に仕切りが無いので、
改装しないで、「健康増進法」を遵守するとなると、全席禁煙しか選択肢がありません。
完全に分かれた空間でなければ、禁煙席と喫煙席との区分は意味を成さないのです。
席が遠い・近いに関わらず、タバコの煙は空調によって、全体に行き渡ります。
風下・空調の吸気口付近・空気清浄機の近くに禁煙席を設けると、
大変、不条理なことに、喫煙席から禁煙席めがけてタバコの煙が向かって来て、
むしろ、喫煙席よりも、浮遊粉塵濃度が高くなります。
さらに、一般的な空気清浄機はタバコの煙の有害物質の除去には無効です。

「席が離れているので大丈夫。」といったことを言われたことがあります。
これは間違いです。タバコの煙というのは、目視できる白い煙だけではありません。
拡散していく中で、次第に見えなくなりますが、隅々にまで行き渡ります。

比較的狭い店舗の場合、酷いところは、全体が霧がかかったように霞んでいますが、
広い店舗の場合でも、仕切りが無い場合は、お店に入った直後に、
遠くの席の喫煙者の存在を感じることがあります。
禁煙席のエリアにある空調の吸気口も、タバコのヤニで黄色く汚れていることがあります。
そうしたお店は、たいてい、壁を触ると手が汚れます。要するに、不潔だということです。

私は、例に挙げたレストランの(元)料理長と意見交換をしたことがあります。
料理長は、「煮方には絶対に喫煙者を採用しない。」とおっしゃっていました。
理由は、日本料理の命の出汁に関わる、繊細な味覚が要求される重要なポジションだからです。
確かに、料理人や料飲サービスに従事する人達の個人的な喫煙行為は、
業務に支障が出なければ問題ありません。
しかしながら、最低限、支障が出ないようにすることは可能かもしれませんが、
味覚・嗅覚を衰えさせる喫煙行為が、仕事に有利に働くことはありません。
実際、現場の長や経営者の判断で、希望するセクションに就けないケースがあります。

料理人が喫煙者だと分かっている場合で、料理の味付けが濃かった時に、
お客様から、「スモーカーズ・テイスト」と言われることがあります。
これは、味覚・嗅覚が鈍っていることが疑われているわけです。
一般的に、化学調味料等を使い過ぎる傾向があるようです。
調理場で平気で喫煙する料理人もいますが、完全な、食品衛生法(条例)違反です。
保健所等の行政機関に、速やかに通報しましょう。
また、カウンター席は調理場でもあります。
カウンター席や、オープンキッチンのレストラン等の客席での喫煙行為は極めて深刻です。



4. 料飲施設の運用の問題

喫煙者であっても、優秀なSommelierはいます。絶妙なバランス感覚があるのでしょう。
喫煙は決してプラスには働きませんから、陰で大変な努力をしているのだと思います。
ただ、Sommelierを始め料飲サービス従事者の中には、
休憩時間の後、タバコ臭を漂わせながら、平気でお客様の前に出て来て、
サービスを続行する人がいます。本人はタバコ臭を消したつもりでいます。
仮に、本人の実際のTasting能力が優れているとしても、
お客様から、「タバコ臭を嗅ぎ分けられないSommelier」と疑念を抱かれた時点で、
料飲サービスのプロとしては失格ですね。信頼関係が大事ですから。

普通の人は、自分の口臭や体臭は、なかなか認識できないものです。
同様に、喫煙者は、自らが発するタバコに起因する悪臭に鈍くなるのが普通です。
身体から強烈なタバコ臭を発していて、近付いて来ただけで、あるいは、
すれ違っただけで、喫煙者だと分かる人がいます。
実際、そんな人達と話をしたことがありますが、自分では気付かないのだそうです。
鼻の粘膜・舌・歯茎等に、ニコチン・タールが染み付いているのですから無理もありません。
紫煙が充満するレストランで食事をしても全く気にならず、
窓を閉め切った自動車の中での喫煙も苦にならず、
車内がタバコ臭いタクシーといったものも、特に意識したことは無いとのこと。
料理人や料飲サービススタッフの中に、こんな人がいるとしたら、ゾッとします。

全体的な喫煙者の数自体は、確実に減っているのですが、屋内から閉め出された結果、
路上喫煙者・歩行喫煙者等の数は、逆に増えているように感じます。
私の所属する自治体の場合も、自転車走行時の喫煙行為を含めて、
条例による様々な定めがあります。
しかしながら、条例云々以前に、常識問題だと思いますので、
いちいち周囲から言われる、そして、周囲から言われても改まらないのは、
何とも情けない限りです。路上の吸い殻も減る気配がありません。
歩きタバコをしている人が、周囲に煙を撒き散らせて、灰を他人にかけたり、
最悪の場合、すれ違いざまに他人の服を焦がしたり……も、もちろん問題ですが、
私が気になって仕方が無いのは、歩行喫煙者本人が、
自らのタバコの灰を浴びながら歩いていることです。
自分の服の汚れが気にならないのでしょうか。
こうした無神経な人が、料理人や料飲サービス従事者ではないことを願うばかり。

庭園に面した屋外のテラス席等は、魅力的ですよね。
ただ、街中においては、屋内を全席禁煙席にした影響で、
自動車の往来が激しい屋外席を、止むを得ず、喫煙席の設定にすることがあります。
排気ガスの直撃を受け、粉塵が舞い、風が吹いて灰皿の灰も舞い上がって料理にかかる……
飲食をする場所としては不適切ですが、それでも、こうした席に着く人達がいます。
もちろん、各人の自由ではありますが、このような状況の場合、
飲食の間くらいタバコを我慢して、お店の中で食事をすれば良いのにと思ってしまいます。
まぁ、(ニコチン切れで)どうしても我慢できないというのであれば、致し方ありません。
でも、そうした席に子供を座らせて食事をしている親がいますが、如何なものでしょうか。

悪い例として挙げたように、ホテルレストラン天婦羅カウンターで、
自分の子供の隣で喫煙する親にしても、周囲が何か言うのは、実際、難しいですね。
当然、子供にも人権があります。親の従属物ではありません。
本来、子供を受動喫煙の被害から守るのは親の役目ですが、まるでお話になりません。
子供を保護してこそ保護者と言えるもの。喫煙者本人の自覚の問題と言いたいところですが、
これも、料飲施設の運用次第で何とでもなります。
この日本料理店の場合は、本店に相当する店舗全席禁煙なので、同じ運用にすれば済む話。

いずれにいたしましても、喫煙者の場合は、お客様の前に出る前に、
タバコ臭が残っているかどうかを自分で判断したり、喫煙者に尋ねるのではなく、
(タバコ臭に敏感な)非喫煙者にチェックしてもらったほうが無難です。
また、開店前の店内の(臭いの)チェックも、非喫煙者が行ったほうが効果的でしょう。
灰皿をさげる際、無造作に扱うと、灰が舞い上がって、さらに状況を深刻にするので要注意。
料飲施設におけるタバコの煙の害は、お客様だけの問題ではなく、
そこで働く従業員の問題でもあります。経営者の姿勢が厳しく問われます。



5. 健康増進法違反店の提訴・告発・通報

私が、しばしば訪れるヨーロッパは、禁煙先進国のアメリカには遅れをとっていますが、
Restaurant & Barを、実質的に全席禁煙にしている国が少なくありません。
若干の温度差はあるのですが、ヨーロッパの多くの国々は、
不特定多数の人々が集まる公共スペースを禁煙にしています。
特に対策が進んでいるのは、
フランス・イタリア・アイルランド・ノルウェー・スウェーデンといったところ。
基本的に、RestaurantとBarの区別はありません。
Barは喫煙所ではなく、純粋にお酒を楽しむ場所。
お酒以外にも食べ物も提供しますから、飲食をする場所という意味で何ら変わりありません。

今までは、フランスの例を書くことが多かったので、今回は、イタリアの「禁煙法」について。
違反者本人の罰金は27.2〜275 Euroで、近くに妊婦・子供がいた場合は罰金が倍になります。
飲食店側が、喫煙行為を黙認したり、禁煙マークを表示しなかった場合の罰金は、
最大で、2,200 Euroです。罰金としては、かなり高額の部類と言えるでしょう。
喫煙を取り締まっているのは、保健所のような行政機関ではなく警察です。
イタリアに行かれる方は、日本の感覚で、うっかり、タバコに点火してしまって、
警察のお世話になることのないよう、くれぐれも、ご注意下さいませ。日本の恥になります。

日本の「健康増進法」には、現在のところ、罰則規定が存在しません。
そのため、日本の飲食店は、法を遵守する「合法店(適法店)」と、
法を無視する「違法店」とに分かれています。
「違法店」の状態に甘んじることを何とも思わない経営者もいますが、
お店の構造上、完全分煙が困難な状況にあり、判断を迷っているところも多いようです。
完全分煙が不可能なケースでは、全席禁煙しか選択肢がありません。

確かに、イタリアのような罰則規定(罰金制度)が無いため、
「違法店」のままでも、営業を続けることができるのですが、
お店(企業)の危機管理という面で、大きなリスクを背負い続けることになります。
一部の喫煙者からは支持されるかもしれませんが、
何せ、法を守らないお店ですから、その他の人達から信用を失う恐れがあります。
反社会的姿勢には変わりありませんので。日本は法治国家だったはず。

「健康増進法」が施行されたということを、軽く考えている人がいますが、
この法律は、大変重たい意味を持ちます。
受動喫煙被害者が、対策を怠った飲食店を相手に訴訟を起こした場合、
法を無視した営業を行っているため、飲食店側が必ず負けます。
これは、狭義に敗訴するという意味だけではなくて、(損害賠償請求に対する)和解を含めて、
結局、全席禁煙か完全分煙を迫られる結果に、追い込まれるということです。
さらに、訴訟費用がかさみます。
大相撲が全席禁煙になったのは、「健康増進法」を根拠にした訴訟が起こされたからでした。

「違法店」の経営者・関係者の皆様方におかれましては、
この、「ワイン&グルメの基本」をネット上に公開している私を、個人攻撃する暇があったら、
訴訟対策費用を積み立てておいたほうが有益ですよ。
でも、そうした費用を捻出するくらいならば、
「健康増進法」を遵守するための費用に充当したほうが、良いに越したことはありませんが……

私自身、もしかしたら、訴訟を起こすかもしれませんが、迷っています。
社会的影響を考慮すると、個別の飲食店よりも、
大規模な有名ホテルグループや、チェーン店を相手にしたほうが、効果的だとは思います。

このページをご覧の皆様方におかれましては、訴訟を起こさないまでも、
イエローカード・レッドカードは、ぜひ、利用していただきたく思います。
自治体によっては、市民にカードを配布したり、
「健康増進法」を遵守する優良店の認証制度を設けたりしています。
優良店には、お墨付きのステッカー等が発行され、一目で分かるようになっています。
法律の浸透を図ることは、行政の重要な役目です。

レッドカードのほうには、「改善されない場合、保健所等に通報します」とあるのですが、
そもそも、保健所等の行政機関は、「健康増進法違反」の通報・告発を受けた場合、
当該施設を指導する義務がありますから、カードの使用の有無にかかわらず、
通報・告発を行っていただきたいと思います。
食中毒発生時のように、営業停止命令が出たりすることは無いのですが、
立ち入り調査(検査)・行政指導が入るだけでも、充分、効果的。
「違法店」は淘汰されて然るべきです。